エスパー魔美 星空のダンシングドール

先月末に発売された藤子・F・不二雄大全集の「エスパー魔美」第3巻。収録作品が名作揃いで面白かった。夏の間別荘などで過ごす時だけ飼われる犬の悲劇を描いた「サマードッグ」や資金難で運営が厳しい人形劇団の話「人形が泣いた!?」、父と母の出会いの思い出に魔美が関わってしまう「雪の降る街を」なども読み応えある。サマードッグはいい話で終わると思いきや突き放されてしまうラストが切ない。


「人形が泣いた!?」は原恵一監督がアニメ映画「星空のダンシングドール」として公開された。この作品DVD化されていないので見られなかったんだけど、この前動画サイトでつい見てしまった。

人形劇団「こけし座」の主催が老いた男性から青年になっていたり、地上げ屋が登場したり(公開がバブル期だったのでこういう描写になったんだろうな)、人形劇に魅せられた理由が追加されていたりとかなり改変されていた。瀬戸内海のうず潮から回想シーンにつながったり、桜の木の下での人形たちのダンスなど情緒的演出が原恵一監督らしいといえばらしいかな。魔美と高畑君はあくまでサポート的な存在でいるのもよかった。瀬戸大橋が出来るまでだったので、連絡船とか夜行列車「瀬戸」?などやたら交通関係に力を入れている作画がリアルだった。「河童のクゥと夏休み」もそうだったけど、作品を見ると旅に行きたくなってしまうんだよなぁ。

原恵一監督の原点を見る感じで楽しめたよ。